社会活動

第43回A.M.E.大会参加とミズーリ大学C.C.C.訪問 報告

                                                 報告者:江島顕一准教授

11月2日(木)から4日(土)まで、中山学長、堀内教授と江島で、Association for Moral Educationの第43回大会に参加した。

今回の大会テーマは、「Evolving Ethics, Moral Education, and the Struggle for Democracy」であり、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのThe Chase Park Plazaを会場に開催された。

大会初日には、中山学長が「How Can We Contribute to Moral Education in the Japanese Tertiary Sector ?」と題して個人発表を行った。その内容は、まず日本の道徳教育の最新動向として「特別の教科 道徳」の成立について話され、その上で麗澤大学の取り組みである全学をあげての道徳科学教育の体系化や課外活動でのアクティブ・ラーニングを通じた人格教育、そして道徳教育に特化した学校教育研究科道徳教育専攻の設置など、高等教育機関における道徳教育の展開について論じられた。質疑応答では、各国の参加者から、日本の学校で教えられている道徳のコンテンツや評価の方法、教員養成の仕組みなど多岐にわたるものがあり、活発な意見交換も行われた。

     【中山学長が発表を行ったセッション】

 

【発表後の質疑に応答する中山学長】

 

大会2日目には、本学の道徳科学教育センターが学術交流協定を結んでいる、ミズーリ大学セントルイス校のCenter for Character & Citizenship の Marvin W. Berkowitz教授の「The Place of Morality in Positive Youth Development and Education」と題した個人発表を拝聴した。個人的には、日本の道徳の教科化で最大の課題である評価の問題について、Berkowitz教授が長年取り組まれているCharacter Developmentの知見は非常に示唆に富むものがあった。

                      【前方右手がBerkowitz教授】

 

大会初日と2日目の夕刻にはポスターセッションが行われ、世界各国の道徳教育の現状や道徳に関する多彩な研究状況を知ることができた。また、同じ日本から参加され、ポスターセッションをされていた研究者の方々とも情報交換をした。

                  【ポスターセッションで発表者に質疑する中山学長】

 

大会終了後の11月6日(月)には、ミズーリ大学セントルイス校のCenter for Character & Citizenshipを訪問し、本学との共同研究である道徳教育の測定方法に関する研究の打合せを行った。これまで3年間にわたって本学の学生及び卒業生を対象に行った道徳教育に関する質的研究と量的研究をまとめるにあたり、最終的な意見調整と討議を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ミズーリ大学セントルイス校のCenter for Character & Citizenship】

 【和やかな雰囲気の中、共同研究について意見交換をする
Berkowitz教授、Wolfgang Althof教授、中山学長、堀内教授】

 

また、打合せ後には、Berkowitz教授が支援する現地のチャーター・スクールであるPremier Charter School を視察した。Premier Charter Schoolは、幼稚園、小学校、中学校が併設された学校であり、教師、保護者、地域住民による設立目標に基づく開発校であった。設立目標は、Respect、Caring、Responsibilityの3つの柱を立て、まさにCharacter Educationによる教育を実践する推進校であった。                            

                      【Premier Charter School】

Premier Charter SchoolのTeacher LeaderであるLeftridge先生に校内を案内していただき、中学校の生徒たちとの懇談の機会を得た。Leftridge先生のお話からは、Premier Charter SchoolのCharacter Educationが学校の教育活動全体を通じて行われてい
ること、設立目標の3つの柱が教員間で真に共有されていることが感じられた。

また生徒たちとの懇談では、終始真摯でインテリジェントな応答をしてくれたが、「学校でトラブルが起きた時、誰に相談する?」との質問に即座に「先生」と全ての生徒が答えていたのが非常に印象的であった(日本のある調査では学校でのトラブルを教師に相談すると答えた児童生徒の割合は10%以下であり、ほとんどが保護者と答えている)。

また、校内の至るところに、児童生徒が書いた道徳的なメッセージが掲げられており(例えば、「pay it forward」「Mistakes are proof that you are trying」)、道徳的な校風が形成されている印象を受けた。

 

 

 

 

 


 【Premier Charter Schoolの先生、生徒たちとの集合写真 】

 

 【図書室での生徒たちとの懇談】

今回のアメリカ出張は、Association for Moral Educationの第43回大会への参加とミズーリ大学セントルイス校のCenter for Character & Citizenshipへの訪問といずれも本学の道徳科学教育センターの地道な研究および教育活動が結びついて実現したものであった。今後もこうした海外との道徳教育に関する学術交流は継続的に進めていくとともに、海外に対して日本や本学の道徳教育についても積極的に発信していきたい。

最後に、今回その全てにおいて献身的なサポートとホスピタリティで我々を迎えいれてくれたBerkowitz教授に深謝申し上げたい。

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