講演、シンポジウム

ホーチミン市国家大学人文社会科学大学で日越副教材出版祝賀会

 去る11月4日にホーチミン市国家大学人文社会科学大学(人文大学)を訪問し、両大学のアカデミック・コラボレーションの産物である日越副教材『現代における経済と道徳』の出版記念式典と講義、同大学日本学科での特別授業を行い、盛況の内に一連の行事が幕を閉じた。前者については経済学部の堀内一史教授、後者については外国語学部の正宗鈴香准教授に報告をまとめてもらったので、ご覧いただきたい。

  講義に先立って本学を代表し、以下のような挨拶を行った。越語への通訳は、同大学卒業生でモラロジー研究所嘱託職員のディン・ティ・トゥイ・アイさんで、アドリブのジョーク(省略)まで伝えてくださったので、会場はなごやかな雰囲気でスタートを切ることができた。

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【堀内教授の報告】

 出版記念式典は人文大学の教室(120名収容可)で行われた。会場には、両校のロゴの入った立派な垂れ幕が掲げられ、式典開始の30分前にはすでに多数の学生たちが着席していた。地元テレビ局からは3名のクルー、新聞社5社からは各1名、合計8名のマスコミ関係者が取材のために詰めかけ、開始直前には会場の席はほぼ埋め尽くされていた。

出版記念式典会場

 式典は、中山学長の挨拶で始まり、続いて、人文大学のセン学長が今回の副教材執筆および出版についての意義に触れて挨拶を締めくくった。その後、中山学長は「日本企業にみる永続の条件―日本文化と道徳思想との関連において」、堀内は「近世日本の経済倫理―江戸期の職業倫理とその宗教的源流」と題し、それぞれ20分間、執筆を担当した章の内容をパワーポイントで紹介した。この講義の通訳は、人文大学日本学科副学科長のツー・フォン(通称かおり)先生が担当した。講義の後は、質疑応答で人文大学の教員をはじめ出席した学生からも関心の高さを伺わせる複数の質問が寄せられた。質疑応答の後、メディア関係者や学生を対象に、中山学長とセン学長による副教材のサイン会が行われ、終始和やかなうちに祝賀の式典は終了した。

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【正宗准教授の報告】

 本学の別科での授業を再現する形で日本語の特別授業を60分行った。教室に入ると30名ほどの学生たちが一斉に起立し「先生、こんにちは」という元気な挨拶と共に温かく迎えてくれた。授業では、教科書等で得た知識を基にどうやったら相手に正確に伝えられるのか、という運用面での気づきを得るための活動を行った。活動後には「相手のことを考えて説明する順番に気を付ける」「話し手と聞き手が同じイメージを持つ」といった発言があり、学びに対する真剣さが感じられた。日本学科の学生たちと授業という形で接する機会が今回持てたことは大変有意義であった。

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【アイさんの報告】

 今回、母校であるホーチミン市国家大学人文社会科学大学で副教材出版記念式典と講演会が行われ、私は通訳として、中山学長、堀内先生、正宗先生とご一緒に出張しました。出張命令を受けた時、本当にうれしかったのはもちろんですが、心配もしました。ユーモアのセンスがある学長の通訳として、言葉の深い意味を人に通訳するどころか、自分が理解するのに時間がかかると思ったからです。そのほか、母校の先生の通訳と麗澤の先生方の学問的な内容の通訳をしましたが、大きなプレッシャーでした。しかし、毎日反省しながら何とか任を果たし、今は本当に感謝いっぱいです。自分が通訳できなかったところがわかり、どのような知識が不足しているかが分かり、改めて勉強しなおさなければならないところが沢山あることが分かりました。式典の後、出版を記念するために日本語の特別授業が行われ、学生の席に座り話を聞いた時、通訳というより、ホーチミン市大学の卒業生として感謝でいっぱいでした。すばらしい話を聞いた後、夜の祝賀会の時、両大学の先生方が仲良く食卓で話をされている雰囲気を味わい、本当に幸せでした。麗澤大学との姉妹団体であるモラロジー研究所の嘱託であり、人文社会科学大学の卒業生である私にとって、すばらしいチャンスをいただきとても有り難く思います。最後に、両大学の発展をお祈りいたします。

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学長挨拶

 本日、日本の麗澤大学とベトナムのホーチミン市国家大学人文社会科学大学の学術・教育交流が実を結び、日越対訳の日本語と日本文化の補助教材が上梓されることになりましたことを、麗澤大学学長として心より嬉しく思います。

  この学術プロジェクトにご尽力くださったボ・ヴァン・セン学長を始め、立派な論文を寄せてくださったドアン・レ・ジャン教授、グエン・ティエン・ルック教授、そしてコーディネーター役を務めてくださったツー・フォン教授、さらにベトナム社会科学出版社のグエン・スアン・ズン社長や関係者の方々にも心より御礼申し上げます。

  ご存知のように、ベトナムと日本は古くから交流がございます。たとえば、朱印船貿易でホイアンに大規模な日本人街が形成されましたが、その歴史は1601年まで遡ることができます。また現在では、ベトナムと日本は経済的にも文化的にも切っても切れない関係にございます。経済的にと申し上げたのは、日本はベトナム経済における最大の投資国であり、文化的にと申し上げたのは、ベトナムが日本語教育を国家として推進している世界で唯一の国であるからです。

  このようにベトナムと日本は、アジアの平和と繁栄のために戦略的なパートナー関係を深化させていることは間違いなく、これからもますます両国の関係は深まることでしょう。

  私ども高等教育機関としても、政治的・経済的関係以上に、草の根レベルでこの文化的・学術的協力関係を深めてゆきたいと思っております。その第一歩として本日ここに、我々のプロジェクトの成功を祝い、さらなる両校の発展を祈念して、私のご挨拶といたします。

 平成26年11月4日
麗澤大学学長 中山理

DSC00874教科書ジャケット 表紙のみ

 

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