大阪住吉大社で開催の教育者研究会で中山学長が講演
7月2日(土)に大阪住吉大社の吉祥殿を会場として公益財団法人モラロジー研究所主催の第53回教育者研究会(大阪南部会場)が「道徳教育の新たな充実をめざして」をテーマに開催され、中山学長が講演を行いました。
当日は、幼稚園から大学までの教育関係者の方々23名を含む65名の参加者を迎え、中山佳英子生涯学習本部近畿ブロック副部長の開会挨拶、大阪市教育委員会指導部の高橋年冶初等教育担当課長の来賓代表挨拶で始まり、講演、事例発表およびパネルディスカッションが行われました。
中山学長は、2回に分けて講演を行いました。第1講では、制度や法律上での道徳教育の位置づけが変化してきたこと、「道徳の時間」がなぜ形骸化してきたのかと、日本の道徳教育の現状を紹介し、今回の「道徳の教科化」は「道徳の時間」を強化するための「教科化」であると論じました。さらに、政府の求める社会人基礎力の中身は道徳性であり、グローバル社会が要求する汎用的能力も同様であるとして道徳教育の必要性を紹介しました。
また、道徳教育とは「他者とのより良き関係性の構築である」とし、私たちの人生は様々な関係性で形作られており、現代は関係性喪失の時代であるからこそ道徳教育が必要であると説明しました。そして、私たちが目指すべき道徳教育は、親・教師が自らの課題として受け止めることが重要であり、道徳性は実践的訓練で身につき、親・学校・社会と子供たちの全人格的交流で育ち、子供が道徳的行動をしたときに感謝、賞賛、承認することで内発的動機づけとなり、人生の正しさと生きる意味が実感できるものになるとして、理想とする価値観を子供たちが内在化できるように支援することであると結びました。
第1講の次に行われた大阪市立栄小学校の平尾 誠校長の事例発表では、同校の1年生から6年生が一緒の班に分かれ、その中で6年生が指導役として多様な意見や発表に耳を傾け、お互いの意見を尊重し合う体験を通じて寛容と共感力を育てる「栄小ハートフルタイム」の取り組みが紹介されました。
パネルディスカッションでは、中山学長、大阪市立天下茶屋中学校の横田勝一郎校長、大阪市立栄小学校の平尾 誠校長がパネラーとなり、大阪市モラロジー協議会の松浪 進会長がモデレータを務めて、道徳教科化に向けての取り組みについて、各学校での体験や実践を通した考えや課題などの発表が行われた。その中で横田勝一郎校長は、荒れた学校を変えた経験から、子供たちが変わるには大人が変わらなければならないこと、子供たちの現状を知ること、子供たちに成功体験をさせることであると発表されました。
最後に行われた中山学長の第2講では、第1講を受けて麗澤大学生の具体的な道徳実践例として、2名の学生の実話が紹介され、子供たちが身近な問題を具体的で切実な道徳問題として考えさせることが大切であると結びました。参加者は、一様に熱心に聴講し、満足した雰囲気の中で会が閉じられました。
創立者廣池千九郎生誕150年を迎えた今年は、小中学校の道徳の「教科化」を目前にして、公益財団法人モラロジー研究所とともに道徳教育を推進してきた麗澤大学も道徳教育と研究のための人材育成ができる教育機関としての役割を担えるようにならなければという思いを一層強くした研究会でした。
以上