中山学長が世界大学総長協会(IAUP)ウィーン総会でスピーカーとして登壇(教育における革新のセッション)
2017年7月6日(木)、中山理学長がIAUP(International Association of University President、世界大学総長協会)の3年に1度開催される世界大学総長協会(IAUP)2017ウィーン総会においてHow Can Japanese Universities Contribute to the New System of Moral Education(日本の大学は道徳教育の新制度にどのように貢献できるのか)と題する研究発表を行いました。
今回のIAUP総会は7月5日(水)~7月8日(土)の4日間、壮麗なホーフブルグ宮殿(オーストリア連邦大統領官邸)を主会場にアッパー・オーストリアの応用科学大学がホスト校となり開催されています。
中山学長のIAUPでの研究発表は2014年に行われた横浜総会以来2度目で、国連主導のグローバル・ネットワークである国連アカデミック・インパクトの学生団体“ASPIRE Japan”の一員として活躍している志賀千晃さん(日本語・国際コミュニケーション専攻4年)、中村文美さん(国際交流・国際協力専攻2年)、伊藤良美さん(国際交流・国際協力専攻2年)、および渡邊信外国語学部長も参加しています。
- 左から 伊藤さん、志賀さん、渡邊学部長、中山学長、中村さん
総会2日目となる7月6日午後3:10 – 4:10に行われたセッションInnovation in Educationにおいて中山学長が登壇し、世界における道徳教育の動向と、日本の小中学校における道徳の教科化に向けた麗澤大学の貢献策と道徳教育の研究成果について発表しました。中山学長は、今回の総会を通じて日本から唯一の発表者でした。
発表要旨
グローバル化が進む今日、日本の道徳教育には国際標準に見合う教育的・学術的貢献をすることが求められている。文部科学省の強い政策的支援もあり、小学校と中学校で道徳が「特別の教科」になることは重要な前進である。しかし、日本の大学には道徳を専門とする学部・学科・専攻は皆無に等しく、その結果として初等・中等教育で道徳を教えることのできる教員を養成する仕組みが整っていない。
こうした問題の解決の一助とするべく、現在、本学大学院では学術的な道徳研究をふまえて道徳を教育できる教師を養成するため、学校教育研究科道徳教育専攻設置に向けて文部科学省へ設置認可を申請している。また、廣池千九郎の道徳思想を建学の精神とする本学では、学士課程4年間を通じて道徳を体系的に学べるよう2016年に全学でカリキュラム改定を行った。
研究面では、例えばミズーリ大学と廣池学園各校における道徳教育のインパクトの測定に関する共同プロジェクトを進行させている。20世紀のアメリカでは、大学は専ら、批判的思考力を鍛えかつ知識を習得する場と捉えられ、道徳教育は軽視された。しかし、21世紀になると状況は劇変し、現在では全米で100以上の大学に道徳や倫理などの教育・研究拠点が設けられているし、イギリスでも人格教育が注目されている。翻って日本の高等教育における道徳教育を考える時、今後 世界の最先端の教育・研究に遅れることなく、率先してその地平を切り開いていくことが重要である。