高校教員のための「道徳教育講座」を開催
道徳科学教育センター(以下、センター)は平成25年8月23日(金)に高校教員のための「道徳教育講座」を開催しました。
千葉県では平成25年度より県立高等学校において「道徳の時間」が必修となり、平成24年度には各県立高等学校において、「道徳の時間」の実施に向けて教職員の研修会などが企画・開催されました。そのような中、複数の高等学校からの要請を受けて、センターから講師を派遣しましたが、その際、研修会に参加された先生方から「道徳とは何か?」「どのように教えたらいいのか?」というような声がありました。
また、センターでは今までの研究成果を踏まえて『高校生のための道徳教科書』を平成25年2月に刊行しました。
以上のような経緯からセンターでは高等学校の教育現場の一助としていただければとの思いから今回の講座を企画・開催しました。「道徳教育講座」プログラム
講座の冒頭、中山理学長(センター長)は開会挨拶の中で、21世紀に求められる汎用的能力の養成は世界的潮流となっているが、その中核は人格力(道徳力)であり、そのためには人格(道徳)教育が必要であると述べ、今回の講座の目的を紹介しました。引き続き、井出元学長補佐(センター員)が「道徳教育の展開について」と題して講演を行ないました。井出学長補佐は講演の中で、「道徳はなぜ教育しなければならないのか」と道徳教育の意義を話し、道徳教育には「狭義の道徳教育」と「広義の道徳教育」があり、「狭義の道徳教育」では知識として道徳を教えること、「広義の道徳教育」では実践の場を通じて人間性を育てることが必要であると話しました。その上で教師と学生・生徒とのかかわりの中で道徳を学ぶこと、つまり師弟同学が大切であるとして教員の人間力が重要であると結びました。
休憩後には、宮下和大センター員より麗澤大学における「道徳科学」の授業実践を通じて得られた成果から、今回の『高校生のための道徳教科書』を作成した経緯の報告、江島顕一センター員からは『高校生のための道徳教科書』を使って麗澤高等学校で行った授業実践の報告が行なわれました。
引き続き、懇談会が行なわれ、最初に参加者から感想が述べられ、続いて今回の講師と『高校生のための道徳教科書』の作成にかかわった麗澤高校の竹政幸雄校長、笠間芳幸教諭および平成22年から24年にかけて千葉県道徳教育推進委員会委員長を務めた岩佐信道教授を囲んで質疑応答が行なわれました。
「高等学校における道徳教育の展開について」をテーマで行われた今回の講座は、約4時間ほどの短い時間でしたが、参加者はそれぞれに熱心に聴講や質疑を行ない、満足した雰囲気の中で閉会しました。