第54回教育者研究会(荒川会場)で 宮下准教授と中山学長が講演 ―「道徳教育の新たな充実をめざして」―
平成29年7月22日(土)、公益財団法人モラロジー研究所主催の第54回教育者研究会(荒川会場)が「道徳教育の新たな充実をめざして」をテーマに東京都荒川区立生涯学習センターで開催されました。
当日は、現職の学校教員など約60名の参加者を迎え、田中秀文東京都モラロジー協議会会長による主催者挨拶、近江貞之荒川区立第七中学校校長による実行委員長挨拶、高梨博和荒川区教育委員会教育長による来賓挨拶の後、現職教員による体験発表、宮下和大外国語学部准教授及び中山理学長による講演並びに分科会が行われました。
現職教員による発表は、小学校教員から道徳教育に関する実践報告や校内研究の事例発表、中学校教員は、生徒自身が学びの効果を実感し、成長を感じられることを目的として開発した教材の研究発表が行われました。
宮下准教授の講演では、本学の必修科目「道徳科学」における授業実践について、報告がなされました。具体例として、数人のグループで道徳的な取組を検討し、それを実行し、振り返り、発表する「ちょこモラ(ちょこっとモラル)」という問題解決型学習や、日頃どのようなことに感謝しているかを考え、発表する「感謝日記」という学習について取り上げられました。その上で、いずれも学生が自らを振り返り、気づきを得て認識を新たにし、行動を良い方向に変化させることに繋げる取組であり、道徳教育では、学校種を問わず、このように生徒や学生自身が学びを深められるような取組が重要ではないか、と結ばれました。
これらを受けて、最後に中山学長の講演が行われました。
中山学長は、はじめに、制度や法律上の道徳教育の位置づけを踏まえ、今般の教科化の背景やねらい、これからの道徳教育に求められることなどについて、紹介されました。その上で、私たちは一人で生きているのではなく、様々な恩恵を受けており、より良く生きるためにはそういった恩恵に感謝し、他者とのより良き関係性を構築することが大切であること、その土台となるものが道徳であり、生涯にわたって学び続けるべきものであることなどを説明されました。
続いて、グローバル化時代における道徳の位置づけについて、海外大学等との共同研究の成果を踏まえ、21世紀型の汎用的能力の中核は道徳であること、それは諸外国においても、日本の「社会人基礎力」などにおいても同様であり、社会環境が大きく変化し、ITやAIが活用される時代になっても道徳の重要性は変わらないことを説明されました。
最後に、どの教師も生徒のロールモデルであり、教師の人格こそが生徒の人格に最も影響を与えるものであることから、教師自身が道徳教育に向き合い、生徒の成長を支援するとともに、自らも学び続け、品性を向上させることが大切であると結ばれました。
本学は、平成30年4月の開設に向けて、大学院学校教育研究科道徳教育専攻の設置を文部科学省へ申請しています。道徳は、平成30年度から小学校において、平成31年度からは中学校において「特別の教科」となります。この大学院は、我が国において初めて道徳教育に特化した大学院となり、道徳教育の理論と実践の融合を通して、教科化される「道徳科」に精通した教員や専門研究者の養成に取り組むとともに、教育学における新領域「道徳教育学」の開拓に向けた研究と教育を展開していきます。
8月4日以降、この大学院に関する説明会を開催いたします。興味をお持ちの方は奮ってご参加ください。
説明会等の情報は、以下のウェブサイトで公開しております。ぜひご覧ください。http://www.reitaku-u.ac.jp/2017/04/17/61336